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ら見に行かない。それは、確かに黒柳徹子さんを気持ちいいと言う人はいらっしゃらないかもわかりません。くせのある人ですから、あるおばさんのファンたち以外はいらっしゃらないかもわかりません。
ところが、この話をちょっと深く言いますと、彼女はやはりマリア・カラスのレコードを聞き、あるいは伝記を読み、マリア・カラスそのものをよくご存じなんですね。だから、そういうご存じの方が演じるということはいかに大事か。せりふに書かれているのを丸暗記して、理解したような顔をして言う役者が大半の中で、ここまで彼女はマリア・カラスをわかっていて、しかも好きで演じているからこそ成功した舞台ではないか、マリナ・カラスがほうふつとしたので、私は非常に感激をした1つの例なんですけれども、なかなかこういう舞台にぶつかることはございません。
この話を聞いたときも、えっ、黒柳徹子がマリア・カラスと思ったのは私も思ったわけですから、これは再演することがあるかと思いますので、ぜひごらんになって、ぜひ北海道なりどこなりでもお呼びになったらいいたぐいの芝居でございます。
余計な宣伝をしてしまいましたけれども、やっぱりこういうものに出会う役者も大事ならば、こういうものを手がけるチャンスができたプロデューサーというのは大変幸せで、やはりいかにプロデュースというものがおもしろいものかということでございます。私は、たまたまそういう趣味の人間ですので感激したわけですけれども、あるいは例えば「四季」の「キャッツ」のようなものが私は大変好きなんだ、こうおっしゃる方は「キャッツ」のようなものを手がけられる。あるいは買い興行であろうが、ご自分のところのステージにそれをのせる仕事をされたことに関する喜び、これがプロデューサーのアートマネージメントの喜びの1つではないかと思います、もちろん「キャッツ」をつくったプロデューサーはもっと偉いわけですけれども、そういうものの評価をして、それを自分のところの劇場へ持ってくるのもプロデュースの大きな仕事の1つであります。ですから、ポリシーを持つことにもつながりますし、作品に関して知識を持つことにもそれがつながります。
東京へ出張されて、いろいろな劇場をごらんになるチャンスを皆様がどういうふうにお使いになっているのか、私はわかりませんけれども、そういう話題になっている舞台だとか、あるいはご自分の目で観客が喜ぶ演劇とは今何が幕があいているんだ、ぜひともこういうお気持ちで毎日をお過ごしいただくというのがアートマネージメントの大きなパワーと申しましょうか、情熱のしからしむるところではないかと思います。それがプロデューサーの要諦であると同時に、また自分がご当地で何かをおやりになるというときの1つの

 

 

 

 

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